【未来童話】あかおにに なったぼく

ぼく 3さい

この子は かぞくの たろう

(いぬです!)

いっしょに おさんぽしたとき

たろうが みちにおちてる れじぶくろを

みつけたよ

なかみが きになるみたい

「あけちゃおっか」

ぼくたちは みちにすわって

ふくろのなかを のぞきこんだ

ふかふかで さわさわの だいふくが いっこ

これは たろうは たべられない

ぼくが たべちゃおうかな ぱくり!

おいしくって むちゅうで たべた

きゅうに からだが あつくなってきた

おかしいな? そとでは ゆきが ふっている

たろうが わんわん ほえている

ぼくの からだに

たくさんの うでが はえてきた

ぐんぐん からだが おおきくなって

はだが まっかに なっちゃった

さいごに あたまに つのが 4つも はえてきた

たろうが ぼくに わんわん ほえている

ぼくも わんわん なきだした

まるで わるものの あかおにだ

このままじゃ パパに おこられちゃう!

ぼくは おじさんの おみせに いった

おじさんは「ギャー!」といって

ぼくに おなべを なげだした

「きづいて! ぼくだよ!」

「しらねえよ! ばけものの しりあいは いない!」

ぼくは わんわん ないて にげだした

ぼくは ようちえんの せんせいに あいにいった

せんせいが ながいぼうを ぼくにむけた

「きづいて! ぼくだよ!」

「こんなひどい すがたの子 うちにはいません!」

ぼくは わんわん ないて にげだした

おうちへの かえりみち

ぼくは なみだが とまらなかった

そらは ゆうぐれ

かえりが おそいと ママに おこられちゃう

とおくから はしってくる おとがする

ぼくは こわくて きの うしろに かくれた

きの まえで おんなのこが とまった

そばには たろうが ついている

「ねえ おうちにかえろうよ」

「かえれないよ」

ぼくは なみだを ぽろぽろ ながしていた

「だれも ぼくのこと わからないんだ

 おうちに かえっても わからないまま かもしれない」

おんなのこは きの うしろに かくれた

ぼくのかおを じっと みた

あたまにはえた つの から

おおきい うで まで ずっとみて

わらいだした

「こわいすがたが あかおにさん みたい!

 でも ぼくくんって すぐ わかった」

たろうが くーんと ないて

ぼくの たくさんはえた ての さきをなめた

おんなのこは てをさしだした

ぼくは そのてと たろうの りーどを にぎった

「てが たくさんあるの いいなあ

 みんなと たくさん てが つなげるよ

 パパと ママと たろうと わたしと

 おじさんと せんせいと

 ずっと てが つなげるの」

「みんなと 手がつなげるのは いいこと?」

「そうだよ

 あたたかい てと やさしい ぼくくん

 みためが かわっただけで

 ぼくくんなのは おなじだね

 みんな はなせば わかってくれるよ」

「そうかなぁ」

ぼくは にこにこ わらいだした

ぼく 3さい

この子は かぞくの たろう

おんなのこは ぼくの ともだち

みんな みんな ぼくの すきなひと


のべるぶというディスコード内で行われた「童話や絵本になるものを投稿しようの会」で投稿したものです。

朗読になるように書きましたが、人と相談して複数人劇にしてもかまいません。

行雲流水

「こううんりゅうすい」 ありのまま私の思いついた作品を投稿したいという思いで名づけます。

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