【未来童話】角の生えた友達


僕には友達がいた。そいつにはみんなと違って長い角が生えていた。

友達はなんでもできた。勉強、スポーツ、歌、性格もよかった。

僕たちができないこともこいつはできた。ケガをすぐに直したり、動物と話すこともできた。

僕は友達が大好きだった。初めての友達だった。いろんなことを友達と一緒にした。

友達はすごいやつだから、どこへいってもすぐに友達ができた。

でも僕はこいつより何もできないから、角の生えた友達よりほかに友達なんてできなかった。

いつか友達は、ほかの優れた友達のほうが楽しくなって、そっちばかりと一緒にいるようになるんじゃないかと思った。

そういうと、友達は笑って否定してくれた。

「そんなことにはならないよ。私は君とはきっと離れない。不安なら、これからはその友達と私と一緒に遊ぼうか」

そうして僕は、友達から友達を紹介してもらった。

僕も沢山の友達に囲まれるようになった。

ある日、僕は角の生えた友達があまりにも誇らしいので自慢したくなった。

「あいつは、動物と話すことができるんだよ」

「そうなの? すごい!

 じゃあ私のペットのハムスターとお話できるかな?」

「きっとできるよ! やってって頼んでみるよ」

角の生えた友達は、その友達のハムスターとお話した。

好きな食べ物をピタリとあてて友達は喜んだ。

「あいつは、すごい力持ちなんだ。車を持ち上げることができるんだよ」

「そうなの? すごい!

 じゃあ、ママの車も持てるかな?」

「きっとできるよ! やってって頼んでみるよ」

角の生えた友達は、片手で車の後ろをもってグッと持ち上げた。

それが面白くて友達は喜んだ。

「あいつは、天気を好きにできるんだよ。雨が降ったらいいなっていったら、雨を降らせることができたんだ!」

「そうなの? すごい!

 じゃあ、雪も降らせられるかな?」

「きっとできるよ! やってって頼んでみるよ」

今回も友達にお願いをした。友達は眉をひそめた。

「私はもう付き合っていられない。この願いをかなえたら私は君の目の前から消えたいと思う。それでもいい?」

嘘だと思った。こいつはずっと僕と一緒にいてくれるから

「どうして? いつも一緒にいてくれたのに。

 ねえ、友達が楽しみにしてるんだ。やってみせてよ」

「……わかった」

次の日、僕たちの住む街には季節外れの猛吹雪が訪れた。

ニュースは異常気象の話で持ち切り。

友達から「おまえの友達、すごいな!」と連絡がきたが

角の生えた友達とはこれきり二度と会えなくなった。


のべるぶというディスコード内で行われた「童話や絵本になるものを投稿しようの会」で投稿したものです。

朗読になるように書きましたが、人と相談して複数人劇にしてもかまいません。

行雲流水

「こううんりゅうすい」 ありのまま私の思いついた作品を投稿したいという思いで名づけます。

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