【未来童話】大事なもの屋さん

【大事なもの屋さん】

あるところに

大事なもの屋さんという

お店がありました

「大事なもの屋さんです。

かいとり はんばい やってます!」

そのお店に ちいさい 女の子が

やってきました

「こんにちは 大事なもの屋さん

ぜひ うってほしいものが

あるのですが」

「ではみせてください」

「これです

ゲームセンターで とれた ほうせきです」

「これはすごい!

いい おねだんで かいとります!」

「ありがとう! これで ぱぱと

もういっかい ゲームセンターに いってきます」

「はい いってらっしゃい」

またあるひ そのお店に 

せいふくを きた おんなのこが

やってきました

「こんにちは 大事なもの屋さん

ぜひ うってほしいものが

あるのですが」

「ではみせてください」

「これです

すきなひとから もらった おはなです

かぞくに みられたら おこられちゃう から

おうちに もってかえれないんです」

「そうなんですね うちで かいとり します」

「ありがとうございます」

しばらくして そのお店に 

せいふくを きた 男の子が

やってきました

「こんにちは 大事なもの屋さん

はなは うってますか?」

「これはおきゃくさん!

うんがいい ですね

さきほど ちょうど

だいじなおはなが はいったところです」

「ほんとうに!? かいます

えっ… これ 

ぼくが あのこに あげた はなです」

「そうなんですか?」

「はい あのこに にあうと

こうえんで つんだ はな

これ うられたんですか?」

「うられました」

「そうですか…」

「おきゃくさま?」

「きょうは いいです 

おしえてくれて ありがとう ございます

大事なもの屋さん」

そのばん 大事なもの屋さんは かんがえました

うられた 大事なものは 

ほんとうに 大事なもの だったりする

うられた 大事なものを ぜんぶ うると だれかが かなしい おもいを する

大事なもの屋さんは それは よくないと おもいました

大事なもの屋さんが 大事なものを うるのは

だれかの あつかえない 幸せを

べつの だれかに わたすことで

また 幸せに なって

てばなされた 幸せも かなしいものに ならないと おもったから

はじめた こと でした

あるひ そのお店に

おとなの 女の子が

やってきました

「こんにちは 大事なもの屋さん

ぜひ うってほしいものが

あるのですが」

「ではみせてください」

「これです

けっこんゆびわ です

くれたひとが しんじゃって

かなしくて かなしくて

もう みてる だけでも いやなんです

大事なもの屋さんが もらってください」

「ゆびわ ですか

わかりました かいとり ます」

「ありがとう ございます」

うられた ゆびわを よくみると

ほうせきは つきより かがやいて

わっかも ぴかぴか きれいで ありました

「これは ほんとうに 大事なものだ

誰にも うっては いけないな」

そのばん 大事なもの屋さんが お店をしめるとき

おとなの 男の子が あわてて やってきました

「大事なもの屋さん おねがいです

ゆびわは ありませんか?」

「ゆびわ ですか?」

「そうです 好きな子が

いい ゆびわを くれるひとと 

けっこんが したいと いうのです」

おとなの 男の子は

大事なもの屋さんの たなに ならんだ

指輪をみました

「ああ それ! それが いいです

それを ください!」

「これは だめです

ほんとうに 大事なもの なので

おうり できません」

「大事なもの屋 なのに?

かいとりも はんばいも やってる でしょう」

「もっと ちゃんと

ゆびわを みてください

これは 大事なひとが 大事なひとに

大事で いてくれるようにと もっていた から ぜんぶ ぴかぴか なのです

あなたは まえの もちぬしと 

おなじくらい 大事に できますか?」

「……

できない かもしれません」

「どうして ですか?」

「そのゆびわを みて きづきました

好きな子は きれいなものが 好きなだけで

ぼくの ことは 好きじゃない

ぼくは あのこに とって さいふ なんだ

ああ きづかされ ました

けっこんゆびわは きれい だけど

きれい だけじゃ だめですよね」

「ゆびわ いがいの

きれいなものなら おうり できます

みて いかれますか?」

「だいじょうぶです ありがとう

その かわりと いっては なんですが

大事なもの屋さん ぜひ しゃしんを

かいとって もらえませんか?」

「しゃしん ですか?」

「好きな子 との しゃしんです

いちどだけ いっしょに とってくれて

ぼくは これが ずっと 大事なもの でした

でも ぼくは かのじょから はなれたほうが いい

ぜひ かいとって ください」

「あら!

しゃしんの あなたは いいえがお

ぜひ かいとらせて ください!」

そうして 大事なもの屋さんには

大事なものが 集まってきました

人はあつまった 大事なものを

みにくるように なって

大事なもの屋さんは うれしくなりました


「大事なもの屋さんです

かいとり はんばい てんじ 

やってます!」



のべるぶというディスコード内で行われた「童話や絵本になるものを投稿しようの会」で投稿したものです。

朗読になるように書きましたが、人と相談して複数人劇にしてもかまいません。

行雲流水

「こううんりゅうすい」 ありのまま私の思いついた作品を投稿したいという思いで名づけます。

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